murawaki の雑記

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Reduplication Meduplication in Khalkha Mongolian

久保智之, 言語研究 112 (1997).

モンゴル語では reduplication が生産的に用いられる。この論文はその性質を詳細に調べている。語学の教科書とかだと、そういう現象があるというぐらいしか説明がない。言語学だから、出てくる例文は周辺的というか典型的ではないものが多い。許容可能か否かをコンサルタントに訊ねて調べるから自然とそうなる。以下は私にとっての新情報の抜書き。例文も論文のもの。

名詞だけでなく動詞にも reduplication が起きる。

машин авч маваад мөнгөгүй болсон.

派生辞は両者に付く。

Оюутнуудаа Япон явуулж мавуулаад завгүй.

複合語の扱い。*япон хэл мапон хэл は駄目だけど、хөх түрүү мөх түрүү はいける。後者は生産的ではなく、一語とみなされている。後の方にも議論があって少し複雑。

慣用句。салхинд гарсансалхи малхинд гарсан にも салхинд гарч марсан にもなる。

解析のために文法を計算機上に実装する場合、有用なのは制約。探索空間を抑えられるから。reduplication の制約は、原則的に隣接しなければならないこと。複合語が厄介だけど、例文を見る限り、window を1語から2語に広げれば十分だろう。

タイトルの Meduplication って何だってことになるけど、これはお遊び。言語学だとこういうのも許容されるのかな。