murawaki の雑記

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The Sibe language on YouTube

シボ語の動画がいくつか YouTube にあがっている。例えばこれ。

しかし全然何言ってるかわからない。

他にもニュースや歌もある。ニュースは ilan minggan といった数字が断片的に聞き取れるぐらい。声調がついている感じで違和感がある。歌はアクセントなどが通常と違うが、歌詞が載っているので助かる。

一番わかりやすいのが語学教習のビデオだけど2つしかうpされていない。

これを聞くと e の音が中舌より (ə, ɜ?) で、日本語の「エ」とはかなり違うとわかる。

しかし、この手の動画の何がすごいのかを人に伝えるのが大変。こんなものを見せられても、「シベ語なんて知らん」というのが一般人の正しい反応だろう。シボ語が重要なのは生きた満洲語だからなのだが、個人的な経験では「満洲語も知らん」と言われる。

満洲語は一般に滅んだ言語と思われていて、調査によってばらつきがあるけど、例えば Ethnogue*1のデータでは、話者が60人しかいない。それもあって、満洲語の研究といえば、残っている膨大な文献の相手をすることになっている。音声系の研究で、どんな風に発音されていたか調べるとしても、大抵が文献ベースでやっている。だから、万単位で話者が遥か西方のイリ渓谷に残っていて、その肉声がこうやって聞けるというのは奇跡のように思える。ちなみに、中国の民族工作的には「満族」と「シボ族」は別の民族だけど、言語学的にはシボ語は満洲語の口語とみなされることが多い。

本家の満洲語についても、黒龍江省三家子の満洲語があがっている。

sibe niyalma といった単語が断片的に聞き取れる。これの貴重さにどれぐらいの人が気付いているのだろうか。

日本の研究としては、満洲語口語の調査研究*2があって、若干の論文が出ている。