murawaki の雑記

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ネタ

ChatGPT 雑感

ChatGPT についてポエムを書き散らすのが流行っている。珍しく流行に乗ってみる。機会を逃すとまた状況が激変しそうだし。 研究者の YouTuber 化 ChatGPT は研究者が想定していた成長曲線よりも上に外れたところに現れた。こんなに流暢にテキストを生成する…

AI は内心を攻撃する手段となる

1年近く経ってしまったが前回の続き。自分の研究がどこに向かっているのかを思案する。私が思い描く理想とは反対の、碌でもない未来を作る片棒を担いでいる気がする。今回はそのことを書き出してみる。話の出発点は 2021年に招待講演にともなう解説記事的な…

AI は人間の直感の外部化

先週、学部同期の原さんのブログ記事「「悪いやつをAIで予測する」のがなぜいけないか」がバズっていた。*1 人間が何に反応するのかわからないものである。目についた反応のなかで私の感覚に近いのは、「みんなそんなことわかったうえで議論しているんだよ」…

熟慮の使いどころ

2020 年になってしまったが、雑事に追われるばかりで進歩がない。進歩がないので去年 5 月のネタを蒸し返してみる。世の中一般的に想像される知性の高低と、計算機による実現の難しさは違う。前回は「昆虫とままごと」と言ってみた。世の中に蔓延する憶測に…

昆虫とままごと

いわゆる人工知能バブルはまだ続いているようで、大学や大学院*1の入試倍率は高いし、企業からの問い合わせも絶えない。その一方で、知性というものに対する世の中の認識と実態とのずれは解消される気配がない。計算機にとって何が簡単な問題で、何が難しい…

ニューラル機械翻訳と記号幻想の死

ニューラル機械翻訳が最近ひどいことになっている。科学技術論文の中日翻訳の結果を見て、ボスの中では機械翻訳はできてしまったことになっている。長年開発してきた用例ベース機械翻訳システムもあっさりお払い箱。しかしボスは満足している。既存研究の再…

文学部の潰し方

表題は釣り。国立文系を潰そうという文科省の通知*1 が先月 (2015年6月8日) 話題になった。(人) 文系といっても色々あるが、経済、法、教育等は接点がなさすぎて想像しにくい。文学部に絞って滅ぼし方を考える。あくまで思考実験。対策を考える足しになるか…

Social Mobility in Japan, 1868-2012: The Surprising Persistence of the Samurai

Gregory Clark, Tatsuya Ishii. Social Mobility in Japan, 1868-2012: The Surprising Persistence of the Samurai. manuscript. 2012. (pdf).社会的流動性の調査に希少な名字を用いる一連の研究の一部で、この手法を日本のデータに適用したもの。結果とし…

何をもって知能とするか

人工知能の現在の研究状況をネタに与太話をするのであれば、singularity は的外れ。もっと先に議論すべき話がある。これ自体が与太話だが、そういう話をしてみる。 背景 2011 年に Jeopardy! というクイズ番組で IBM の Watson が人間に勝った。その頃から、…

対人行動の普遍性と個別性

かつて同じ時期に同じ研究室にいた人が、人間の能力について最近楽しそうに書いている。触発されて私も書いてみる。彼の焦点は対人行動の普遍性、というか生得的能力にある。私はむしろ個別性に興味がある。この世界には異なる文化が存在する。同じ人間であ…

Wiktionary がうまくいってたまるか

前回に引き続き、わからないという現状認識を書き残しておく。Wiktionary は失敗が約束されていると思ってきた。昔の記録を漁ると、2007 年には某所でそんな発言をしていた。しかし、2014 年現在、そこそこ何とかなってるっぽい。なぜだろうか。そもそも現状…

翻訳する動機がわからない

良い機会なので翻訳に関する疑問を書いてみる。*1そもそも翻訳を生業としない人間が翻訳する動機がわからない。*2動機がわからないからことには、翻訳に関する生態系の作り方もわからない。自分で翻訳するのをやめて久しい。だが高校生の頃はやっていた。OSS…

一般意志 2.0

お仕事に関わるイベントで東浩紀氏の「一般意志 2.0 データ民主主義の可能性と限界 」という招待講演を聞いた。感想などを書く。話自体は streaming などで以前から聞いていた。調べたら去年3月付のメモ書き状態の草稿が残っていた。この機会を逃すと二度と…

'Race' on the Japanese Internet: Discussing Korea and Koreans on '2-Channeru'

McLelland, MJ, 'Race' on the Japanese Internet: Discussing Korea and Koreans on '2-Channeru', New Media & Society, 10(6), pp. 811-829, 2008.*1ひどい論文の紹介。おまけに私の専門外。世の中にはくだらないものが溢れているわけで、それをいちいち…

懐疑論者の勝利

移動中にどうでもいいことを思い出した。とりあえず書き出してみる。中二色全開の題をつけて。お題は Wikipedia。Wikipedia は編集方針として NPOV (neutral point of view) というのを掲げている。NPOV とは何か。Wikipedia が提示する説明はうんざりするほ…