murawaki の雑記

はてなグループから移転してきました

テキストじゃ書き順が分かりにくい

テキストという媒体には様々な制約がある。その制約ゆえに、言語系の論文とか語学の本を読んでいると不便に感じることがある。一番困るのが発音がよく分からないことだけど、意外と書き順も分かりにくいという話。

先に発音について。テキストには音声そのものは表現できない。語学の本の中には、音声データが付いているものがある。昔はテープ、今は CD-ROM。論文だとそういうのがない。

テキストによる代替策としてよくあるのが、言葉による説明と発音記号による表記。前者は語学の本によくある。「日本語のアより奥より」とか割といい加減な記述。むしろ IPA で書いてくれたほうが分かりやすい。IPA でもいい加減な表記ができるけど、記述言語学の論文だと真面目に音価を書いてあることが多い。ではそれで音声が再現できるかといえば無理だ。どう考えても情報が落ちている。

で、本題の書き順。こちらは音声と無関係だが、時間変化を持っている。テキストにあるのは書き終えた形だから、途中経過が分からない。おまけに、文字によっては印刷書体と筆記体が結構違っていて、印刷書体があてにならなかったりする。

テキストでも動きを表現する方法はある。一つは矢印で方向を示す。もう一つは複数のコマで途中状態を表現する。両方やればなお良い。これで、漢字の書き順については、少なくとも楷書は桝目ごとに独立だから解決するはず。しかし、アラビア文字モンゴル文字は続け書きするから、文字単位で説明されても分からない。実際、モンゴル文字の書き順は、授業に出てみて初めてわかった。圏点をどの時点で付けるのか分からなかったけど、語ごとに軸を先にかいて最後に最後に付すのが正解だった。

ということで、やっぱり時間変化はビデオで説明するに限る。ちょうどウイグル語アルファベットの解説ビデオ群YouTube で見つけて良い感じだったので、こういうことを思い出した。このビデオは文字単位で書き順を説明している。けど、ウイグル語の正書法は、アラビア文字としてはかなり変わっていて、母音を全部表記するためか、続け字が意外と続かないのであまり問題ない。