murawaki の雑記

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言語

A Study of the Tacheng Dialect of the Dagur Language

By YU Wonsoo, KWON Jae-il, CHOI Moon-Jeong, SHIN Yong-kwon, BORJIGIN Bayarmend, Luvsandorj BOLD, Seoul University Press, 2008.ソウル大学校出版文化院の Altaic Languages Series の 2 冊目。Materials of Spoken Manchu とあわせて購入。久しぶりに…

Indus "Script" Controversy

インダス「文字」が自然言語を表しているか否かという論争。なかでも、言語説を支持する証拠を示したとされる Science 論文をめぐる論争。時系列は以下の通り。 2009年5月の Science にインダス文字言語説を支持する Rao+ の論文 (第一著者 Rajesh Rao のサ…

Empires of the Silk Road

Christopher I. Beckwith. 2009. Empires of the Silk Road.中央ユーラシアの通史。時間的にも空間的にも広すぎて、個人の手に負えるとは思えないテーマ。当然端折りまくり。重要な事件でもまったく言及されてなかったりする。Beckwith という人は言語の人だ…

日本語ネットが閉じているのは表記が原因か

本筋の検索の話。曰く、「ネットは島宇宙化しやすい。それをつなぐのは検索しかない。しかし日本語は文字が違う。オランダ語やインドネシア語なら同じアルファベットだから検索ワードで引っかかる。すると容赦なく外側に開かざるを得ない。」着眼点は面白い…

接続詞から見る日本語の付属語の独立性

日本語の接続詞はかなり変わっていて、付属語の独立性の高さを示しているのではないかという話。いい加減な議論。そして未整理。前提。すべての接続詞について議論するわけではない。ここで扱う接続詞は (1) 接続助詞や判定詞 (『基礎日本語文法』の区分) に…

Cia-Cia 語のハングル表記がひどい

インドネシアのチアチア (Cia-Cia) 語の表記にハングルが採用されたというニュースが韓国で話題になっていて、AFP にも記事が出ていた。Cia-Cia 語がどんな特徴を持つ言語なのか気になるところだが、韓国のニュースは調べた限りでは全然言及がない。どうやら…

親子と言ったあなたは誰

締め切りが近付いてくると、現実逃避で妙なことを考えてしまう。今回はそんな話。親子と言ったあなたは誰か。視点はどこにあるのか。「父と母」なら問題ない。ある子供から見て、父であり母である。では「親と子」はどうか。一つの解釈は、自分を視点とした…

清朝の蒙古旗人

清朝の蒙古旗人 その実像と帝国統治における役割 by 村上 信明 (2007).八旗蒙古に属す蒙古旗人を17世紀後半から18世紀後半までの期間を対象に考察した本。著者は前々から外藩関係の官制について何本か論文を書いている。本書は一般向けの digest になってい…

テキストじゃ書き順が分かりにくい

テキストという媒体には様々な制約がある。その制約ゆえに、言語系の論文とか語学の本を読んでいると不便に感じることがある。一番困るのが発音がよく分からないことだけど、意外と書き順も分かりにくいという話。先に発音について。テキストには音声そのも…

閉鎖空間に飲み込まれたくない

連休中にウルムチとカシュガルを経由して、その先の某所に行って帰ってきた。*1その時思ったことのメモ。興味があるのはこの地域の言語状態。しかし判断材料が少なくて偏っている。具体的には、実際に会話した人、町の看板、それに本屋の書籍。まずはこれら…

U+0649 の表示

はじめてウイグル語を書いてみたわけだが、手元の環境では表示が正しくない。いろいろ調べたのでメモ。問題は i。initial form や medial form が選択されるべきところで isolated form が表示される。ウイグル語の i に対しては U+0649 ARABIC LETTER ALEF …

Introduction to Modern Uighur

by Hamit A. Zakir, Xinjiang University Press, 2007. ھازىرقى زامان ئۇيغۇر تىلىウルムチの本屋で見つけた語学の本。30元。ウイグル語を英語で説明。この本については、ググってもほとんど情報がない。そもそも Amazon が何も返さない。アフィりたくてもア…

Reduplication Meduplication in Khalkha Mongolian

久保智之, 言語研究 112 (1997).モンゴル語では reduplication が生産的に用いられる。この論文はその性質を詳細に調べている。語学の教科書とかだと、そういう現象があるというぐらいしか説明がない。言語学だから、出てくる例文は周辺的というか典型的では…

Mongol Elements in Manchu

Mongol Elements in Manchu: A Study of Mongol Correspondences to Manchu Lexicon by William Rozycki.書評のまねごと。金にならないことが明らかすぎるからアフィリエイトはやらない。満洲語とモンゴル語を少し調べてみると、両者が似ているとわかる。明…

OUKA の使い勝手が悪すぎる件

こちらのブログで言及されているように、『内陸アジア言語の研究』が阪大のレポジトリ OUKA で公開されている。論文の表題一覧を眺めていると少し昔を思い出す。例えば宮紀子の「モンゴルが遺した「翻訳」言語」は、2003年に「上」を読んで衝撃を受けて、一…

YouTube でシラ・ユグル語

YouTube ネタの続き。若いにいちゃんがシラ・ユグル語の単語をしゃべっている。 聞けば、とりあえずシラ・ユグル語がモンゴル系の言語だってことはわかる。とはいえモンゴル語の音声が身についてないから、ハルハ語とどこが違うのかと聞かれても的確に答えら…

The Sibe language on YouTube

シボ語の動画がいくつか YouTube にあがっている。例えばこれ。 しかし全然何言ってるかわからない。他にもニュースや歌もある。ニュースは ilan minggan といった数字が断片的に聞き取れるぐらい。声調がついている感じで違和感がある。歌はアクセントなど…